三朝四朝又朝朝

思ったことなどを徒然に・・・・・・
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「遺恨あり 明治十三年 最後の仇討」と吉村昭「敵討」
JUGEMテーマ:スペシャルドラマ

ドラマ「遺恨あり」の未見であった裁判以降を見ることができた。それで、自分の中でのいろいろな謎が解けてよかったです。

 以下、ネタバレありです。

六郎の裁判を担当した判事の中江は、法律に照らし合わせて極刑が相当との判断だったのですが、事件の調査をする過程で出会った山岡鉄舟や秋月藩の国家老の吉田などの心情を知り終身刑という判決を下す。これが彼のぎりぎりの選択だったのでしょう。模範囚として過ごした六郎が大日本国憲法発布に伴う恩赦により10年で出所してきた際、中江は六郎を出迎えます。「これからは自分のために生きるべき」と中江は声をかけますが六郎の決意を知り、武士の誇り云々というより人間の業というものの深さを中江は味わったことでしょうね。

興味深かったのが、当時は人を一人でも殺害すれば極刑というのが当たり前の世相だったこと。江戸時代においては、十両以上の窃盗でも死罪だったりと重たい刑罰を科されていたようだし、死罪でも罪の軽重で打ち首や磔などいろいろあったみたいで、長い間そういう法慣習で過ごしてきたからでしょうか。現在なら死刑の適用はないケースと言えるかな・・・。

鉄舟の娘松子の位置づけは、鉄舟亡き後の彼の意思を引き継ぐ役目だったのですね。六郎となかと松子の三角関係になったら・・・などと余計な心配をしてましたが、そのような浮ついた恋愛話もなく一安心。 松子は、鉄舟からの遺言として預っていた六郎の父の形見である脇差を六郎に渡します。脇差を抜いた六郎は驚愕します。脇差の刀身が竹光に差し替えられていたからです。鉄舟は出所後の六郎の行動を見抜いていたのですね。「先生は恐ろしいお人だ・・・」と呟く六郎ですが、その決心を変えることはありませんでした。

六郎にすれば、幼い時に両親の無残な死に様を目撃し、それ以来親の仇を果たすことに命をかけてきた人生ですから、他のことは考えられないことだったのでしょうね。刀身を真剣に戻し、母親の仇である萩谷の行方を追うというのは六郎にすれば当然の行動でしょう。

その萩谷は一瀬が六郎に討たれてから六郎の影に怯え、六郎が出所したことを伝え聞いたことにより、その精神に異常を来たします。そして、六郎が萩谷の居場所を突き止め駆けつけた時、六郎が目にしたのは萩谷が自らの命を絶った姿でした。 生きる目的を失い、喪失感に苛まれながら故郷へと足を向けた六郎は、川に父の形見である脇差を投げ捨てる。出所後、いろいろな人から受けた助言に耳を貸さず仇討ちを放棄しなかった六郎が、ここで自分のこれまでの人生の象徴ともいる脇差を放棄してしまうわけですね。

抜け殻となった六郎は生家の門をくぐる。立ち竦む六郎の目に映ったものは・・・。あの惨劇の日以来、六郎の顔から消えていた表情が・・・。

以上、ネタバレおわり

藤原竜也、名演技でしたね。他の演者の皆さんも良かったです。 実際の事件はどうなったのか気になって、原作の「敵討」を読みました。吉村さんらしい硬質の文体で淡々と書かれていますが、その行間から登場人物の想いが伝わってくる吉村節は健在と言ったところでしょうか。

ドラマのどこらへんが脚色されているのかも良く分かります。すごく練られた脚本ですね。ドラマや映画は別に原作や史実通りでなくていいし、監督なり脚本家の想いが加わり、そこに新たな創造物としての存在価値が産まれるのでしょう。このドラマが面白いと思った方は、ぜひ原作もご覧になればいいかと思います。

 原作には「最後の仇討」ともう一遍「敵討」が収録されています。「敵討」の方も、「最後の仇討」同様、当時の政治情勢が絡んでおり、作者の吉村さんがどうしてこの二つの仇討事件を題材にしたのかが良く分かりました。「敵討」の方ですが、吉村さんの長編小説「長英逃亡」のキーパーソンであった人物が絡んでいたのは驚きです。誤解を恐れずに言えば、存在自体が歴史の流れにとって「悪」という人物も珍しいかも・・・。もちろん、別の角度から見れば、別の評価となるでしょうけどね。

 
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